日々介護をしている方の負担を少しでも軽く。介護を受ける方の生活が少しでも快適になるように。福祉・介護用品やサービスに関する情報をお届けする「介護のいいモノ教えまっせ」。ケアネーネ編集部がしっかり見定め、納得したいいモノをご紹介します。
今回ご紹介するのは、歯科専売のオーラルケア用品です。
いくつになっても、自分の歯でよく噛み、よく食べることは、健康を維持するために必要なこと。さらに、歯を失う大きな原因である歯周病が、全身疾患にかかわっている可能性やアルツハイマー型認知症のリスクを高めることもわかってきました。
そこで、歯周病治療に力を入れる名古屋市の塚本歯科クリニックで、歯の健康やセルフケア用品についてうかがいました。

保険の適応範囲内でできる歯科検診を体験。
まず、塚本歯科クリニックではどのような診察を行っているのか、実際に歯科検診を受けることに。体験するのは、歯の調子で悩んでいたMさんです。

Mさんは、最近歯医者に行ったのはいつ? 今、何か気になっていることはあるの?

もう、1年以上行ってないかも。
最近、歯によく物が挟まるのよねぇ。
久しぶりの歯医者だし、ちょっとドキドキするなぁ。

今日は保険の範囲内の検査をして、お口の中を見てからその状態を説明します。
もし、何か治療の必要があれば、どんな方法があるかご提案しますね。
では、さっそくチェックしますよ。
全体的にキレイに管理されてますね。
左下に、ちょっと欠けているところがあります。
レントゲン写真を見ると、根っこの先に少し炎症がありそうですが、
非常に小さいので症状がなければ経過観察ですね。
お口も骨の状態もキレイなので、虫歯や歯周病は気になるレベルではないです。
ただ、うちの場合、菌を見るんです。
菌の種類や量によっては、全身疾患に関係してきます。
特に血糖値。歯周病がひどくなると、血糖値も上がってくる。
最近は、医科と歯科が血糖値などの情報を共有しましょうという、国のルールもできたんですよ。
これから、一緒に菌を見てもらってから、衛生士さんに歯の汚れを取ってもらいますね。


顕微鏡で、口の中の生きた菌と初対面!

当院では、歯のお掃除をする前に、
お口の中の汚れを少し採取して、顕微鏡で菌の状態を確認しています。

なんでお掃除の前に菌を見るの?

お口の中には、歯周病菌や虫歯菌、カビ菌もいます。
出血すると一時的に菌が血管内に入ることがあり、
全身に影響を及ぼすリスクが高まります。
それを防ぐために、こうした顕微鏡検査を行っています。

えっ!
少しの出血で菌が体中にいっちゃうの?

そうなんです。
必要に応じてお薬を使いながら、
菌の状態を整えてからお掃除するという流れになります。
では、顕微鏡でMさんの菌の状態を見ますね。



うゎ~!! これ、私の口の中で飼っている菌だよね。


生きている菌が見られるなんて、すごい顕微鏡だね。

位相差顕微鏡といって、これを入れている歯科医院は、全国でも10%ほどなんですよ。
実際に自分の目で菌を見ると、お口の中のリスクが非常にわかりやすいと思います。
※位相差顕微鏡による観察は、2026年6月より保険収載が予定されています。
今後は一般の歯科医院でも徐々に受けられるようになる見込みです。患者の負担が軽減されることで「歯周内科治療」は身近になりますが、導入状況や治療方針により対応は医院ごとに異なります。
なお、本取材は2025年12月時点のものです。

位相差顕微鏡で見えているのは虫歯や歯周病の原因菌です。
動いている菌は、活発度合いや種類、
量によって歯周病になりやすい、なりにくいがあるんです。
でも、キレイですね。

歯周病がひどい人は、菌がたくさん泳いでいて、
増えてくると歯ぐきから出血したりします。
お口の管理がうまくいっているので、いい状態ですね。
でも、菌は何かきっかけがあると増えるので、
3か月に1回くらいのペースで見続けた方がいいと思います。

サンプルをお見せしますね。歯周病菌、虫歯菌の多い方だと、こんな感じです。


うゎ~!!これはイヤだ~!
虫みたいなのがいる!

歯周病菌ですね。
Mさんのお口の中は、カビ菌が少し成長しています。
カビ菌は、どなたのお口にも絶対いるのですが、
成長しているのは汚れがたまっている状態ですね。
カビ菌がすごくたまっている方は、
当院で販売している歯磨き粉を使っていただいて、
キレイになった状態を確認してからお掃除するんです。

Mさんのカビ菌、キレイになるのかなぁ。

まだ、この状態であれば大丈夫ですよ。
では、お掃除していきますね。
今日はお時間の都合もあるということで、歯の表面だけ磨いていきます。
最初に荒い歯磨き粉で磨いて、最後に仕上げ磨きをします。

ふだんのお掃除では、ほかにどんな工程があるの?

磨いてから歯石を取ります。
仕上げ磨きのあとに歯間ブラシ、フロスも使いますね。
お掃除は以上です。お疲れさまでした。



ありがとうございました。
お口の中がキレイになって、さっぱりしました!

いい歯ブラシの選び方ってあるんですか?

その方のお口にあったものですね。
お口が小さい方や親知らずが生えている方は、
ヘッドの小さいものの方が磨きやすいと思います。
歯周病、歯肉炎気味だと、毛が細いタイプを選ばれると汚れが落ちやすいですね。
あと、1カ月に1回は必ず交換が必要です。

そんなこと考えずに選んでいたなぁ。
今度、歯ブラシ選びも歯科衛生士さんに相談してみよう。
体の健康と口の健康は、
密接なつながりがあった。

口の中には菌がたくさんいて衝撃でした!
もっと歯について教えてください!
歯の役割って、食べるため以外にもあるんですか?

子どもの成長を促すとか、老化を防ぐとか、
そういう意味でも歯の存在はすごく大きいと思います。
歯がなくなってくると、食事が取れなくて栄養が偏ったり不足したりするほか、
顔がクシャっとなってシワが入ったり。
1本なくても嚙み合わせがかわるので、顔ぼうが変わる場合がありますね。
あと、歯がないと食べ物が噛み切れず、
固形物が気管に入って誤嚥を起こす可能性があります。


じゃあ、歳をとるほど歯の健康に気をつけなきゃいけないんだね。

そうですね。
でも、80歳で20本以上の歯を残す、「8020運動」はほぼ達成しているんですよ。
最近では、90歳でも歯がある人が多くて、そういう人はやっぱり健康なんです。
食べ物はすべて口を通るので、口ってすごく大事だと、患者さんもよくいわれますね。

健康を維持するには、歯の健康が欠かせないんだね。
昔は、歯医者には虫歯になった時しか行かなかったけど、
変わってきているのかなぁ。

虫歯になってからではなく、
虫歯にならないために歯医者に行くという考え方は、かなり浸透していると思いますよ。
厚生労働省の統計でも、虫歯は圧倒的に少なくなってきているんです。
小学生では、1学年中に虫歯3本とかね。
昔は、虫歯の子は50%60%だったんですけど、
国や歯科医師会の動きがうまくいっているんでしょうね。
気づいた時には悪化している!
歯周病は、静かなる病。

虫歯以外に、歯の病気ってどのくらいあるんですか?

歯医者で診る病気といえば、虫歯と歯周病が2大疾患。
それ以外だと、がんや顎関節症、上顎洞炎など多岐にわたりますが、
やはり虫歯と歯周病が国民にとって重要な病気だといえますね。

歯周病って最近よく耳にするけど、こわい病気なんですか?

歯が抜け落ちて、物が噛めなくなってしまうんです。
歯周病は、菌に感染して起こる感染症で、
進行すると歯ぐきや歯を支える骨が溶けてしまいます。
ぬかるんだ場所に家が建たないのと同じように、
ゆるくなった土台に立っている歯では、物が噛めなくなるんです。

じゃあ、歯周病菌が口の中にあると、歯がなくなっちゃうの?

いえ。
免疫力が下がったり、お口の中が不衛生な状態になると、
菌が増殖して定着しやすくなります。
そこで、一気に感染症として発症するんです。

Mさんの口にも歯周病菌はいたなぁ。
発症しないように気をつければいいんだね。


歯周病になると、どんな症状が出るんですか?

歯ぐきからの出血、噛むと痛む、
歯が揺れている、膿が出る、口が臭う
というのが主な症状です。
でも、
初期症状がわかりにくくて、
“サイレント・ディジーズ” 静かなる病と
いわれているんですよ。
気がついたら、もう悪くなっていたという状態ですね。

症状が出た頃には進行しているって、こわいなぁ。

虫歯の症状が少ないと歯医者に行く機会が減り、
歯周病の発見が遅れることが多いんです。


やっぱり、歯医者さんに定期的に通うことが大事なんだね。
どのくらいの頻度で通えばいいんですか?

うちの場合は、
菌の増殖などを考えて、大体3か月に1回、
お口の中の状態によって1カ月に1回の方もいますし、症状により違いはありますね。
薬を飲んで歯周病を治す、
歯周内科治療。

歯周病が感染症っていってたけど、人から人へうつるんですか?

そうなんです。
接触感染がほとんどなので、家庭内でも接触をコントロールすることが大事です。

子どもにご飯を食べさせる時も、
大人が使った箸やスプーンを使わない方がいいんだね。

ほかにも、ペットボトルの回し飲みとかね。
とはいえ、お口の中に直接菌が入っても、
ホメオタシスといって、菌のバランスを身体がとっているので、
悪い菌がそう簡単につくことはないです。
でも、免疫力が下がった時などは注意が必要です。

歯周病になると、どんな治療をするんですか?

まず、うちで力を入れているのが歯周内科治療です。
位相差顕微鏡で菌の状態やタイプを確認して、
必要に応じてお薬を併用しながら、清掃とセルフケアで菌をコントロールします。
あと、歯周外科では歯ぐきを切って骨をつくる特殊な方法も
保険治療として認められていますし、レーザー治療もあります。

薬を飲んで歯周病を治療するなんて、初めて聞きました!
うちの近所の歯医者さんでもできるのかなぁ?

どの歯医者さんでも同じ治療ができるかというと、そうではないんです。
それぞれの医院で、力を入れている分野が違いますからね。
「9020」に必須なのは、
検診、セルフケア、フレイル予防。

80歳、いや90歳まで歯を20本以上残すには、どんなケアをすればいいんですか?

それは、圧倒的に定期検診を受けることですね。
もちろん、セルフケアもすごく大事。
たとえば、
アメリカなど海外では、歯磨きだけじゃなく、
リンス、フロス、歯間ブラシを使うのは当たり前です。
日本も、セルフケアのレベルを上げていく必要があります。

そういえば、受付にも歯磨き粉とかいろいろ並んでたなぁ。
歯医者さんで売っているものと市販のものはどう違うんですか?

入っている成分が違います。
歯磨き粉や洗口剤は、
患者さんのお口の中がどんな状態で、
どの成分が効くのかを考えて使ってもらっていますし、
歯ブラシもお口の状態に合わせておすすめしています。
今日のMさんの状態だと、
家でのケアもうまくいっているので、必要ないということになりますね。

そうなんだ。
症状によって、使った方がいい人、
使わなくてもいい人がいるんですね。
歯医者さんで買ったケア用品で毎日メンテナンスすれば、
歯周病もこわくない気がするなぁ。

それだけじゃダメ。
定期検査は必要ですよ。
人間ドックと同じで、いい状態を確認し続けることが大事なんです。
磨けてないところがあれば、そこから悪くなるリスクがありますからね。
プラス、オーラルフレイル。
は、今すごく問題になっています。

歳をとると、
フレイル予防が大事だってよく聞くけど、
口の中も同じってこと?

高齢になると、
べろの動きや噛む力、嚥下する力が弱くなったり、
あるいは呼吸する力も弱くなる。
気管に物が入っても咳ができなくて、誤嚥性肺炎を引き起こす場合があります。
また、物をしっかり噛めなくなると、栄養が摂れなくなって免疫が落ち、
全身疾患につながることもあります。

口の健康と体の健康はつながっているんだね。


そうです。
定期的な歯のメンテナンスと、口腔機能を訓練することが大切なんですよ。
口腔機能は、加齢とともにどうしても下がっていくんで、
いい状態をどう維持していくかも考えて治療にあたっています。

受付のモニターに、
舌のトレーニング動画が流れていたけど、
口腔機能の鍛え方も教えてもらえるんですか?

もちろんです!
舌運動とか、口輪筋の運動とか、口腔ケアの指導に組み込んでいますからね。


歯医者は相性!
でも、その前にチェックすることは…

最後に、信頼できる歯医者さんの探し方を教えてください。

僕は相性があると思っているんです。
友だちの紹介で来院され、結局自分には合わなかったという方もいますし。
先生やスタッフと話をして、院内の雰囲気を見て、
相性が合うか考えてもらうといいと思います。
それ以外では、まず、きちんと検査をして、
その結果をしっかりと説明して治療計画を立ててくれるかってことはすごく大事で。
そこが第一関門だと思って、検査も説明もしっかりとさせてさせてもらってますね。

レントゲンも撮ったし、菌の検査もあったし、菌の説明もたくさん聞けたもんね。

当院では治療によって出血すると一時的に菌が血液中に入るリスクがあると考えているので、きちんと検査したうえで、今治療をしていいかを判断しています。
あとは、SNSやGoogleの評価も目安になると思いますよ。

わかりました!
歯医者さんで定期検診を受けて、家でもケアして、90歳で20本以上歯を残すぞ~!

「9020」をめざすための歯科専売品 オーラルケア用品
歯科専売品は目的に合わせて設計されています。歯科医師、歯科衛生士に相談し、自分に合ったものを提案してもらいましょう。
歯磨き粉
●高濃度のフッ素や、殺菌・抗炎症効果の高い薬用成分を配合。
●虫歯・歯周病予防、ホワイトニング、知覚過敏など、目的や口腔内の状態に合わせて使用。
洗口液
●高濃度のフッ素や、殺菌・抗炎症効果の高い薬用成分を配合。
●虫歯・歯周病予防、口臭予防など、目的や口腔内の状態に合わせて使用。
歯ブラシ
●毛の細さや密度、ヘッドの大きさ、持ち手など、ブラッシング効果を考えた設計。
●歯周病、矯正、インプラントなど、口腔内の状態にあったものが選べる。
歯間ブラシ
●市販品よりサイズが豊富。自分の歯間にあったものが選べる。
●デンタルフロスより使いやすく、歯の根元の汚れを効果的に除去できる。
デンタルフロス
●歯ぐきにたまった汚れまで落とすタイプや、
ワックス加工で歯間に入りやすいものなど種類も豊富。
●歯間が狭く、歯間ブラシが入らない箇所に使用。
塚本歯科クリニック
https://sp.tsukamotodc.com/
得意とする歯周内科治療をはじめ、虫歯、入れ歯、インプラント、矯正、審美など幅広く対応。最新の歯科医療で、さまざまな歯の悩みに応えてくれる。
愛知県名古屋市千種区若水3丁目20-24
TEL:052-722-8778

塚本歯科クリニック
塚本 高久さん
歯科医師、歯学博士
塚本歯科クリニック院長
愛知学院大学歯学部口腔外科大学院卒
愛知学院大学歯学部 口腔内科・口腔病態制御学講座 非常勤助教
衛生検査技師
国際歯周内科学研究会代表理事
日本口腔検査学会代議員
日本顎咬合学会会員
日本小児矯正研究会会員
事業承継M&Aエキスパート

最後に、ケアネーネ編集部から一言~!
虫歯がなくても歯医者へ行くべし!
私が個人的に通っている塚本歯科様に取材をさせていただきました。
ありがとうございました。
20代の頃、虫歯治療をした被せ物の下にさらに虫歯が進んでいて
四度も歯医者を変わり、やっと辿り着いたのがここでした。
今ではその虫歯にも感謝かもしれません。
虫歯がなかったら、歯周病の定期検診なんて知らずにいたと思います。
ケアネーネ世代の50代、歯周病知らず。
目指そう「9020」〜!