寿命ハック―死なない細胞、老いない身体―

著者:ニクラス・ブレンボー
訳:野中香方子
新潮新書
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《本を紹介する人》ケアネーネ編集部「おはぎ」

人生の目標は、ピンピンコロリ。
健康で長生きするために本気でダイエットをはじめたover50。
小さいことを気にするわりに、嫌なことは一晩寝たら忘れるタイプ。
大好きな推しの活躍を原動力に、今日も老いに立ち向かう!

「知る」ことが長寿の秘訣、ということを学んだ一冊。

抗酸化サプリメントが寿命を縮めるのは本当か。

みなさんは、健康のためにどんなことをやっていますか?ウォーキング、ヨガ、筋トレ、水泳、いろいろあるけど、サプリメントを飲んでいる人も多いのでは?私も最近、抗酸化力を高めるサプリメントを飲みはじめ、よし、これで元気に長生きするぞ!と張り切っていた。ところが、ある日、衝撃的な一文を目にする。「抗酸化サプリメントは寿命を縮める」。まじか!という思いで、この言葉が帯に書かれている『寿命ハック―死なない細胞、老いない身体―』を手に取り、震えながらページを開いた。

結論から言うと、残念ながら、抗酸化作用のあるサプリメントを摂取する人のほうが早く死ぬのだそうだ。理由は、逆境が生物を強くする現象「ホルミス」が、サプリメントを摂取することにより無くなるからだとか。健康的にストレスを与えるほうが身体には良いらしい。運動すればするほど健康になるというのは、こうした根拠がちゃんとあるのだ。著者は寒中水泳も良いと言っているが、個人的にこれはちょっとハードルが高い。

長生きする人とは?長寿の地域は?長寿の秘訣は?
その答えが、ここに。

さて、前置きが長くなったが、私の健康サプリメントライフに衝撃を与えた『寿命ハック―死なない細胞、老いない身体―』について紹介しよう。ものすごくざっくり説明すると「不老不死」や「若返り」の研究について解説している本。世界22カ国で翻訳されているベストセラーで、著者のニクラス・ブレンボー氏は、デンマークの若き分子生物学者だ。

本編は、390歳のサメ、1万4000年以上生き続けている樹木、若返るクラゲなど、自然界に存在する脅威の長寿生物の紹介からはじまる。続いて登場するのは、「ブルーゾーン」と呼ばれる長寿地域、ニコヤ半島(コスタリカ)、バルバジア地方(イタリア)、イカリア島(ギリシャ)、沖縄(日本)、ロマリンダ(アメリカ)。共通点は海沿いで、開発が進むと寿命が短くなっているという点も興味深い。長寿遺伝子を持っているのはどんな人なのか、寿命は遺伝するのか、遺伝子と環境どちらが人生を左右するのかなど、興味をそそられるテーマが続く。老化を増加させる「ゾンビ細胞」のメカニズムとその撃退法、背の低い人に長寿が多い理由、小さな動物の方が長生きしやすい、閉経が遅い女性は長生きしやすいなど、家族や友人に話したくなる知見が散りばめられている。

心の健康と豊かな知識が、まさに寿命ハックなのかもしれない。

最後の章「物質より心」まで読み終えて感じたのは、心の健康が何よりも大切だということ。規則正しい生活、バランスのとれた食生活、ほどよい運動を心掛けても、心が病んでしまっては意味がない。そして、長寿の仕組みについて理解していれば、健康管理も本気で取り組むようになる。本書を読んで「長生きするためには知ることが重要だ」ということを一番学んだような気がする。
学者が書いた本ということで、敷居が高いと感じる人もいるかもしれないが、その心配は無用。第24章まであるが、それぞれ短いのでサクサク読める。文系脳の私でも2日で読めたよ!

目次

プロローグ―若返りの泉
I 自然の驚異
第1章 長寿の記録 390歳のサメ/寿命のない木/悲劇的なサケの一生/死を遠ざける生き物たち/身長と寿命の法則/法則から外れた長生きなネズミ
第2章 太陽とヤシの木と長寿 ブルーオーシャン―長寿者たちの住む町/長寿で注目すべき地域
第3章 過大評価される遺伝子 遺伝子が持つ情報/遺伝と環境、人生を左右するのは/寿命も遺伝?/遺伝子研究が予知する未来/発見された遺伝子メカニズム/長寿遺伝子を持つ人々
第4章 不老不死の弱点 死は老化がもたらす/生物はなぜ死ぬのか?/老化はプログラムされている?

II 科学者の発見
第5章 あなたを殺さないものは…… 抗酸化サプリメントは寿命を縮める/ストレスこそが生物を強くする/パイナップルは口内を攻撃している/健康的にストレスを感じる方法
第6章 サイズは重要か? 新大陸を目指して/小人族の人々/成長ホルモンを運ばない身体/ラロン症候群のネズミ/背の低い人が長寿な理由/成長因子―IGF-1
第7章 イースター島の秘密 細菌の持つ特殊な分子/真菌の成長を管理するタンパク質複合体―mTOR/ラパマイシンとアンチエイジング
第8章 すべてを結びつけるもの 細胞のゴミ収集車―オートファジー/細胞を騙せ!
第9章 高校で教わる生物学の誤り 人類は細胞と細菌の結合から生まれた/細胞の発電所/ミトコンドリアを除去する
第10章 不死への冒険 不老不死の細胞/細胞が死なない理由/ヒーラ細胞の秘密/大胆な遺伝子治療
第11章 ゾンビ細胞とその退治法 自殺しなくなった細胞たち/ゾンビ細胞を殺すには
第12章 生物時計のねじを巻く 結果が分かるまで早くて数年/細胞の年齢を測るには/より正確な体内時計/早く老化する細胞/細胞年齢を巻き戻す―iPS細胞/どこまで若返らせるか問題/多能性幹細胞は変幻自在/科学と倫理のジレンマ/細胞を再生する―成体幹細胞
第13章 血液の驚異 輸血と若返り/若い血液の力/体内の鉄分が意味するもの/鉄は寿命を縮める?
第14章 微生物との闘い 死の産科と死体粒子/らせん状の細菌/人体は微生物だらけ
第15章 見えるところに隠れる ウイルスが持つ武器/HIVとの闘い/感染症との闘いは続く…第16章 長生きするためのデンタルフロス 老化とアルツハイマー病/脳の老廃物―アミロイドβ/ヘルペスウイルスとアルツハイマーは密接/ガンを引き起こすウイルス/ウイルスが老化に与える影響
第17章 免疫の若返り 腸内細菌の驚くべき力/老いる免疫システム/免疫システムの若返り

III 役立つアドバイス
第18章 楽しく飢える 食事制限は有益か/最も寿命が延びるのは飢餓状態/腹八分目は理にかなっている
第19章 歴史ある習慣を見直す 大事なのはカロリーか食事時間か/断食とダイエット/382日間食べなかった男
第20章 カーゴカルトの栄養学 栄養学の論文は矛盾だらけ/長寿の人々を真似れば長生きできるのか/ランダム化比較試験から分かること/ビタミンDはわたしたちを健康にしない
第21章 思索の糧フード・オブ・ソート 牛乳でおなかを壊す原因は遺伝子/体の老化年齢を知る方法
第22章 中世の修道士から現代科学へ 血糖値コントロールが長寿への近道?/糖尿病薬がアンチエイジングに効く!?
第23章 測定できるものは管理できる 死因の第1位は遺伝性/1日25個の半熟卵を食べる男/高血圧になりにくい人々は長生き/運動すればするほど健康に/筋肉と長寿の関係性
第24章 物質より心 心は体をコントロールする/人間関係が健康に影響する理由
エピローグ

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