マダムたちのルームシェア

著者：seko　koseko
KADOKAWA
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前向きな考え方をするだけで、人生はこんなにも輝いてくる。

個性の異なる3人が、それぞれを尊重しながら程よい距離感で生活。

ルームシェア、たしかに流行ってる。私も子どものいない友人同士で「将来は一緒に住むか～」なんて話してるくらい。でも、うまくやれるかなって不安もあるよね。そんな人に読んでほしいのが、『マダムたちのルームシェア』。タイトル通り、ルームシェアをしている3人のマダムたちの日常を描いたコミックだ。
登場するのは、無邪気なバツイチの栞さん、シングルでバリキャリの沙苗さん、ほんわかふわふわ未亡人の晴子さん。長年の友人でもあり、個性の異なる3人が、それぞれを尊重しながら程よい距離感で生活している。とにかく3人ともめちゃくちゃポジティブで、明るく、元気。時には悩むこともあるけれど、今の自分を受け入れ、新しいことに挑戦しながら、人生を謳歌しているのだ。

年を重ねたからこそにじみ出る深みと美しさ。

個人的に印象深いのは、1巻のエピソード2。沙苗さんが、ずっと身につけているオパールの指輪を磨きながら言うセリフがいい。「20代に買ったものだからもうヴィンテージで最初の輝きはないけど、その分大切に磨かれて年月を経たからこそ出る深みと美しさがあるわよね」。さらに、真似して自分たちの指輪を磨き出した栞さんと晴子さんに向かって「それぞれ光ってるものは違うと思うわ。容姿・知識いろいろ。だから自信持って」とポジティブに畳み掛ける。

白髪が増えただの、肌がたるんできただの、外見の老いばかりに目を向けて、高級美容液をせっせと肌に塗り込んでいた私に、この言葉は刺さった。ついでに目からウロコも転がり落ちたわ。そう、内面をもっと磨かねば！肌ケアも大事だけど！

「私もこうなりたい！」共感できるエピソードが盛りだくさん。

こんなわけで、冒頭から作品の世界観に引き込まれ、ページを捲る手は止まらず2巻まで一気読み。ポジティブと思いやりにあふれたエピソードが次々と登場し、読み進めるごとに「私もこんなふうになりたい」という気持ちがどんどん膨らんでくる。晴子さんがルームシェアを決断するまでを描いた1巻のスペシャルエピソード1では、自分がどうしたいのか葛藤する姿に共感するあまり、「うん、うん、わかるわ」と思わず声に出してつぶやいてしまった。この共感力の強さも、作品の大きな魅力だ。年だからやれない、やらない。そんな思い込みを吹き飛ばしてくれる。自分に自信がなく、他人の目を気にして身動きが取れなくなっている人にこそ、ぜひ読んでほしい。

作者のseko koseko氏はファッション系イラストで人気のイラストレーターだけあり、漫画のタッチや色使いなどが洗練されている。作中に出てくるインテリアや3人のファッションもそれぞれセンスが良くて素敵。カカオ100％チョコ、おうちカフェ、ナイトキャップなど、食やファッションのトレンドもたびたびストーリーに登場するので、おしゃれに暮らすための参考にもなりそうだ。私は読了後、学生時代に買った小さなルビーの指輪を磨いてみたよ。ナイトキャップもおすすめだよ！（ちょろい）