「健康で長生きしたい」「自分らしく人生を歩みたい」 そのためのヒントを本からもらってみませんか。 なかには人生の大きな転機となる出会いがあるかも。 このコーナーでは、ケアネーネ編集部が気になっている本をご紹介。 読んだあと、あなたが歩む道の先を少しでも明るく照らせるといいなと思いながら丁寧に選びます。

著者:土井善晴
ミシマ社
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《本を紹介する人》ケアネーネ編集部「おはぎ」

人生の目標は、ピンピンコロリ。
健康で長生きするために本気でダイエットをはじめたover50。
小さいことを気にするわりに、嫌なことは一晩寝たら忘れるタイプ。
大好きな推しの活躍を原動力に、今日も老いに立ち向かう!
料理を切り口に
「人間」「自由」「幸せ」について語るエッセイ集
一汁一菜で世の主婦の心を軽くした料理研究家のエッセイ
いきなりだが、わたしは料理が苦手だ。レシピ通りに作ってもなぜかおいしくならないし、材料が多く手順が複雑なレシピは最初から敬遠してしまう。
そんなわたしがタイトルに惹かれて手に取ったのが、この『味つけはせんでええんです』。
てっきり「料理下手でも大丈夫!」と励ましてくれるレシピ本かと思いきや、読み終えてびっくり。これは「料理」を入り口に、暮らし方や人生をやさしく見つめ直す、まるで哲学書のようなエッセイ集だった。
著者は、テレビや雑誌などでもおなじみの料理研究家・土井善晴さん。調理のハウツーよりも、「どう生きるか」「日々をどう過ごすか」といった根源的な問いに寄り添う内容に、ぐっと引き込まれてしまった。
料理とは「人間を取り戻す時間」である
本書は、料理を通じて「自分に戻る」ことの大切さを説いている。AIや効率性が支配する現代社会において、食材と向き合い、手を動かすことは、機械にはできない「人間らしさ」を育む行為である。そして、土井さんは、「おいしい」という言葉の呪縛についても言及している。毎日のごはんは「評価されるもの」ではなく、「自分らしく生きるためのもの」であると。
個人的にとても印象的だったのは、この部分。
これまで、たくさんのおいしいカレーのレシピをつくってきました。
おいしさにこだわらず、昔のように、さほどおいしくないカレーを気楽につくりたくなりました。
もみない(物足りない)カレーに、卵を割って、ウスターソースをかけて、福神漬けを混ぜて食べるのです。とても、おいしいと思います。カレーを食べる時間が、とても楽しくなって、とても幸せに思えます。
(p139より引用)
料理は、自分らしく自由に食事を楽しむためのもの。それは、料理だけでなく、しあわせな生き方にも通じる考え方なのかもしれない。
料理が「義務」から「自由」へと変わる
わたしのように、料理に対して「面倒」「苦手」という感情を抱く人にはぜひ読んでほしい。読み終えたあとには、「ご飯と味噌汁、トマトを切っただけでも十分な料理である」と前向きな気持ちになれるはず。
レシピとは人の物語から生まれたお料理のメモ。他人のレシピは他人の人生から生まれたもの。でも本来、料理は自分の人生から生まれてくるものです。それがあなたの料理です。
つたなくっても、自信がなくっても、私はいいと思います。「味つけせんでええ」というのは、それを大切にすることだと思っているのです。
一生懸命お料理すればそこにあなたがいるのです。お料理するあなたが、あなたを守ってくれるのです。
(p2「まえがき」より引用)
「味つけはせんでええんです」という言葉には、料理の本質と、現代を生きる私たちへのやさしいメッセージが詰まっている。
そして、不思議なことに、読み終えたあとに料理をしたくなってしまった。苦手なのに(笑)
もちろんメニューは、「さほどおいしくないカレーライス」。
目次
1 料理という人間らしさ
2 料理がひとを守ってくれる
3 偶然を味方にする――「地球と料理」考
4 味つけはせんでええんです
5 料理する動物
6 パンドラの箱を開けるな!
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