「健康で長生きしたい」「自分らしく人生を歩みたい」 そのためのヒントを本からもらってみませんか。 なかには人生の大きな転機となる出会いがあるかも。 このコーナーでは、ケアネーネ編集部が気になっている本をご紹介。 読んだあと、あなたが歩む道の先を少しでも明るく照らせるといいなと思いながら丁寧に選びます。

著者:カレー沢薫/(原案協力)ドネリー美咲
講談社(モーニングKC)
講談社公式HPはこちら
《本を紹介する人》ケアネーネ編集部「おはぎ」

人生の目標は、ピンピンコロリ。
健康で長生きするために本気でダイエットをはじめたover50。
小さいことを気にするわりに、嫌なことは一晩寝たら忘れるタイプ。
大好きな推しの活躍を原動力に、今日も老いに立ち向かう!
「孤独死」「老後」といった重たいテーマを
コメディタッチで描いたコミック
ひとりで生きて、ひとりでしぬ覚悟を決めた。
30代独身女性の終活エンターテインメント!
今回おすすめするのは、この夏ドラマ化もされ話題となっている『ひとりでしにたい』。
まずは、ざっくりとあらすじから紹介しよう。
主人公である山口鳴海は、35歳、独身。職業・美術館の学芸員。
アイドルの推し活を楽しみ、自分で購入したマンションで愛猫と自由気ままに暮らしている。
そんなある日、バリバリの「キャリアウーマン」だった憧れの伯母が、段ボール1箱分の遺品だけを残してひっそりと孤独死してしまった。
その出来事は、鳴海にかなりの衝撃を与える。
「おひとり様って、もしかして危うい?」そんな危機感に駆られた彼女は、慌てて婚活にいそしむがどうにも空回り。
そんな時、同僚の年下男子・那須田から放たれた辛辣なひと言が、鳴海の心に突き刺さる。
「結婚すれば将来安心って、昭和の発想でしょ?」
これを機に、鳴海は「婚活」から「終活」にシフトチェンジ。
“ひとりで生きて、ひとりでしぬ” 覚悟を決める。
伯母の最期を反面教師に、どうすれば孤独死を避けられるのか。
「終活」を真剣に模索し始める日々が始まった。
終活を自分ごととして考えるキッカケが詰まっている。
本作のいちばんの魅力は、終活を“他人事”ではなく“自分ごと”として引き寄せてくれること。
「お金もない、パートナーもいない、老後どうする?」
「老後に必要な制度ってナニ?」
「親の介護には不安しかない!」
こうした読者の不安を、主人公が全部代弁してくれる。そして鳴海のテンパりっぷりと毒舌モノローグに笑いつつ、途中で気づくのだ。「あれ?これ、笑ってる場合じゃないぞ」と。笑わせながらも鋭く問題をえぐる、カレー沢薫節が随所に光る。
重くなりがちな終活をシュールな笑いで描いているせいか、終活に対するハードルがぐっと下がり、「自分の最期をどう迎えるか?」という問題にも自然と向き合える。
また、那須田が鳴海に片思い中というラブコメ的要素もあり、ふたりの噛み合わない関係性がどう進展していくのかも気になるところだ。
「孤独死」回避で重要なのは、お金や地位ではなく、人とのつながり。
社会的地位もあり経済的にも困っていなかった伯母が孤独死してしまったという設定も秀逸だ。伯母が悲惨な最期を迎えた理由は、作中に登場する印象的なセリフにある。
「孤独と不安は人間を馬鹿にしてしまう」
晩年はあやしい投資や宗教に全財産を注ぎ込み、家族との付き合いも疎遠になり孤立していった。一人で生きようとすることは間違いではないが、一人の人ほど「人」を大事にしないとダメになる。
「ひとりでしぬとは、ひとに頼らないことではない」
助けてと言える人や場所があることが、孤独死回避には重要なのである。
また、作中には、孤独死や老後破産のリアルなデータから、「親の終活」への向き合い方、頼れる支援団体の紹介まで、いざというとき役に立つ情報も満載だ。
孤独死は、誰にでも起こり得る。
もし、配偶者が先に旅立ってしまったら?
もし、子どもが介護を拒否したら?
そんな“もしも”を想像しながら、独身女性だけでなくすべての人に読んでほしい。
読後、ポジティブな気持ちがみなぎってきた!(自分比)
「自分の人生なんだから、自分で決めよう」
「悩んでいるヒマがあったら、調べて動こう」
「いまのうちに準備すれば、“ひとり”でも大丈夫」
読み終えたあとには、そんなメッセージが心に届く。
わたしは、人との付き合い方をもっとちゃんとしよう、老後について親とも話しておこうかな、なんて思ってしまった。
終活ってネガティブなものじゃなく、“自分を大事にする生き方のひとつ”なのかもしれない。
目次(第1巻)
第1話 ぼくらはみんな死んでゆく
第2話 謎の謎
第3話 わるいおんな
第4話 彼女の事情
第5話 進学ガイド
第6話 希望の星
第7話 後妻業かよ私
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