“歩く”をアシストする トヨタ C+walk S

今回ご紹介するのは、トヨタのC+walk Sです。
「“歩く”をアシストする」という小型モビリティは、一般的なシニアカーと、どう違うのか、開発を担当したトヨタ自動車商用CASE企画開発部の皆さんを直撃しました。

外出の機会を取り戻す、
「歩く」代わりのモビリティ。

ニッコリー
ニッコリー

C+walk Sのコンセプトとして、「すべての人に移動の自由を」「行きたい時に行きたい場所へ」「やりたいことをあきらめない」とありました。これは、人生100年時代にはとても大切な考え方だと思います。以前、冊子版のケアネーネで、大川弥生先生の「生活不活発病※」を取り上げて、社会参加が減ると生活が不活発になる、高齢になって不自由さが進むのは仕方ないことではなく、専門的な知識や技術があればもっといい人生にできるはずだと教えていただきました。トヨタのC+walk Sは、それを体現した技術だなぁと思いました。

※大川弥生先生の記事はこちら過去の冊子版ケアネーネvol.13

山田さん
山田さん

ありがとうございます。では、C+walk Sの開発の狙いからお話しさせていただきます。
昨今、高齢化社会が進み社会情勢も変化し、移動形態も変わってきています。そうした中で、私たちはクルマの次の選択肢になるモビリティは何かを探し続けてきました。トヨタではすべての人に移動の自由を届けることをめざしていますが、いろいろな人に移動の選択肢があることが移動の自由ではないかと考えたのです。たとえば、免許を返納すると一気に移動範囲が狭まってしまいます。つい家の中に引きこもりがちになるんですね。私の親もそうなんですが、買い物にも出かけなくなり、外出したい時に「乗せて行って」というのも気を遣っていると思うのです。失った外出の機会を取り戻してあげたいという想いもあり、生涯を通じて移動をサポートさせていただきたいというのが開発の経緯になります。その中で、歩くことが一番身近な移動手段となるので、その代替となる歩くことに特化したモビリティがC+walkシリーズになります。

ニッコリー
ニッコリー

歩くことと同じ扱いだから、免許もいらないんだ!

山田さん
山田さん

はい。免許は必要ありません。
「一緒に歩こう」がキーワードで、横について一緒に歩きたいというのが私たちの想いです。歩道で人と一緒でも邪魔にならないように体に沿ったデザインになっていますし、イスに座って移動しているだけのような感覚を受けると思います。


シンプルな操作性と安全を装備してお出かけをサポート。

ニッコリー
ニッコリー

とても簡単に使えると聞きました。どのくらい簡単なんですか?

山田さん
山田さん

ハンドルのアクセルレバーを押したらスタート、離せば止まる、直観的に操作できることがポイントです。自転車と同じような独立したブレーキも付いていますし、最高速度の設定も可能です。認証キーもマスターと合わせ50個つくれ、それぞれに速度など個別設定ができるようになっています。4㎞/hで歩くスピード、6㎞/hだと駆け足の速さですね。

ニッコリー
ニッコリー

老いてきた親に使わせるとなったら、危なくないですか? 歩道にも段差があったり、路面がツルツルしていたり、操作ミスなんて怖いなぁ。

山田さん 
山田さん 

そうですね。操作を極力簡単にしたというのが大きなポイントになります。
とにかく、離せば止まることを優先させました
また、走行中正面に人や物を検知すると通知とともに減速という形で操作をサポートします。カーブや坂道を下るときも同様の操作サポートをします。
とはいえ、全ての危険を感知するのは非常に難しいです。そのため自分の進む先の路面は
操作される方がしっかりと確認して、ご使用していただきたいです。
その上で、このモビリティは自分の行く先の路面が見やすく、回避操作のため小回り性を優先した設計としております。

ニッコリー
ニッコリー

万が一、人とぶつかった時は、交通事故になるんですか!?

難波さん 
難波さん 

道路交通法上、C+walk Sは歩行者の扱いですので、歩行者同士の事故になります。
(事故の過失割合は状況によって個別に判断されることになります)

山田さん
山田さん

正面からの衝突に関しては、障害物検知機能で約2㎞/hに減速することで衝突を回避できるよう操作サポートさせていただいておりますが、速度が遅いとはいえ、ぶつかってしまうと怪我につながる可能性がありますので周囲の状況にはしっかりと注意してご使用ください。

難波さん
難波さん

ぜひ気軽に、トヨタの販売店へご試乗のお申し込みをください。ご希望に応じて、ご自宅周辺でも試乗をしていただけます。
その際には、専門スタッフが一緒に確認し、安全に走行できるようアドバイスをするようにしています。

ニッコリー
ニッコリー

動くから危ない、ではなくて、乗る人が安全に扱えるかどうかが大事ってことかぁ。
いつも使っている道で試乗できるのはいいですね~! 気をつけた方がいい場所も教えてもらえると安心です。


介助する人、される人、
どちらの負担も減らしたい。


ニッコリー
ニッコリー

最近、友だちのお母さんが膝を悪くして、元気がなく、日常の買い物に出るのさえ億劫みたい。スーパーの中もこれで入れるんですよね?

山田さん
山田さん

法律上は入店も認められています。シートの下にはスーパーの買い物カゴがすっぽり入る収納があるので、マイバスケットでお買い物するにも便利ですよ。

ニッコリー
ニッコリー

でも、ホームページには入店できるスーパーが掲載されていないじゃないですか。ちょっと不親切じゃないかなぁ。

山田さん
山田さん

法的には歩行者扱いであるため、入店は可能なのですが、お店の中のレイアウトや他のお客様の状況等一概には申し上げられませんので、各施設で判断いただくようお願いしております。
ご使用の際は、ご自身で各店舗にご確認いただきたく思います。

ニッコリー
ニッコリー

そうなんですか。車いすでもご遠慮くださいという店がまだあるし、そこはどちらも課題なんだなぁ。。。
車いすではお年寄りが一人で坂道を上るなんて無理だし、出掛けたくても誰かの手助けが必要でしょ。自分の力でどこへでも行けるって大切なことなんですね。C+walk Sがあれば、自信を失わずに生きていけそうです。

山田さん
山田さん

そうなんです。私の父がそういう状態だったので、家族としては何かしてあげたい。車いすを押してあげるなんて何でもないことなんですけど、後ろから押すのと、横に並んで歩けるというのは大きく違うのでは?と思います
横に並んで歩くことで、より会話が弾む気がしませんか?一緒に出掛けたくなりますよね。

ニッコリー
ニッコリー

歩くことが難しくなっても、同じ立場で並んで歩けるなら、うれしいなぁ!

山田さん
山田さん

ひとりで外出できれば、介護する家族の負担も軽くなるはずです。これは個人的な意見ですが、介助する人の手助けにもなることはとても重要だと思っています。自分でできることを増やしてあげることと、サポートする人の手間を減らしてあげること、どちらも大事
だと思っています。変に気を遣わせてしまったり。そうした心理的な負担も減らせるといいですね。もちろん、これがすべてだとは考えていませんが、ひとつの手段としてこういう乗り物が出てくることが、世の中を変えていくことになるのだと思います。


「シニアカー」ではなく、
誰もが使える「アクティブカー」!

ニッコリー
ニッコリー

今までのものとは違うなぁというのは、見た目のデザインもスタイリッシュです。なんかシニアの乗り物じゃないみたい!ボクも乗ってみたいし、街中でもっと見かけてもいいのに、なんであまり知られてないんですか?

山田さん
山田さん

こうした乗り物は高齢者専用という印象が強かったと思います。もちろん、高齢者に使っていただきたいという想いはありますが、そうでなくてもいい。こういうモビリティの選択肢があることを、我々も伝えていかなければいけないですね。

難波さん
難波さん

発売してまだ1年なので、あまり認知されていないのだと思います。購入した方にインタビューする機会があるんですけど、街を走っているとすごく声を掛けられるそうで、カッコイイ乗り物だと思っていただけているようでうれしいです。

濱崎さん
濱崎さん

誰でも自由に行きたいところへ行ける、自分の意志で行ける。「シニアカー」というより、「アクティブカー」だと捉えていただくと受け入れやすのかなと思いますよ。

ニッコリー
ニッコリー

「アクティブカー」っていいですね!歳も関係なく、人生をアクティブにしてくれる乗り物があれば、歩くことが不自由になっても毎日楽しくなりそう!
ところで、シニアカーだと新品が30万円前後で購入できますが、それに比べると少し高いですよね。
乗りたくても買えない人もいるんじゃないかなぁ。

難波さん
難波さん

要介護認定をお持ちの方は、介護保険レンタルでのご利用をご検討
いただくとよいかもしれません

C+walksは電動車いすなので、介護保険の福祉用具貸与の対象となっており、
原則要介護2以上の方は、1~3割の自己負担でお乗りいただくことが可能
です。

購入したいと思っていても、身体の状態が今後どうなるかわからない中で
躊躇される方もいらっしゃると思うので、
レンタルなどの手段もご検討いただければと思います。

山田さん
山田さん

まだまだ力不足ですいません。
歩行領域のモビリティは私達にとって初めての経験です。
実証実験を重ね、また関係する方々のご意見を伺って改善を重ねてまいりましたが、まだまだ進化していけると考えております
実は、アクセルボタンを左右どちらの手でも使えるようにしたのは、お客さまの声を活かしたものなんです。
皆さまからは、ご批判を含めいろいろな声をいただきたく思います。その声を活かし、このモビリティをより良い乗り物とすることで、笑顔をいただけるよう努めてまいります。
ぜひ、「アクティブカー」の仲間になってください。ご協力、よろしくお願いします。


実際に試乗させていただきました!

一通りC+walk Sについてご紹介いただき、いよいよ試乗へ。お話をうかがったとよたエコフルタウン周辺(2024年3月31日閉館)をC+walk Sに乗って散歩しました。体験するのは、豊田市在住の上原房江さん。普段は自分史活用アドバイザーとして活躍され、終活セミナーの講師も務めていらっしゃいます。「アクティブカー」と聞いて、さらにワクワクしてきた上原さん。

「4㎞/hじゃちょっと物足りないわ」と、すぐにスイスイ乗りこなし、さっそく街の中へ出発です!


道路のへこみも気にならず安定走行。歩道に乗り上げる時の段差も問題ありません。途中にあった喫茶店の入り口までの急な坂道もラクラク。急カーブもしっかり減速して難なくクリアです。

おしゃべりしながら散歩気分を満喫していると、

なんと!!!
コインランドリーで、C+walk Sに乗っている女性を発見!
せっかくなのでお話をうかがってみました。

リースで使い始めて半年以上になります。週2回はこれで出掛けますよ。今日は布団の洗濯に来たんだけど、外に止めておくと布団を持って入らなきゃいけないからこのまま中へ入りました。いつも行くスーパーも許可をもらって、人が少ない時間帯にこれに乗って買い物をしていますよ。操作も簡単だし、小回りがきくから、狭い通路でも簡単に回れるしね。小さい子どもさんとか前にいると自動的に速度がゆっくりになるから不安もないです。慣れない頃は、斜面でハンドルを取られることがあったから、そこだけ気をつけるようにしています」

コインランドリーの入り口の段差を乗り越えるのはちょっと難しいとあきらめた上原さん。布団を積んで店内へ入ったと聞き、「スゴイ!」と驚いていました。行きたい時に行きたいところへ、実際に生活の足として使われている方の生の声が聞けた貴重な出会いでした。

ニッコリー
ニッコリー

上原さん、試乗してみてどうでしたか?

上原さん 
上原さん 

本当に楽しかったですね!「アクティブカー」に出会えて良かった。シニアカーっていうのは嫌だったの。アクティブカーなんだから、シニアになってからじゃなく、普通に生活できる時から使うものだと捉えた方がいいですね。早めに取り入れなきゃそう思いました。

豊田市は自動車の町、どこでも車で行くし、一家に数台も車があるのが当たり前なんです。免許を返納したらどうやって生活したらいいのか不安があったので、購入しようかと真剣に考えちゃいました。これからは一家に一台、アクティブカーって時代かな。

チーム婆ばら(上原さんのお仲間)で出かけて、喫茶店にズラッと並んでたらおもしろいですよ!まっすぐは行かずに、ぐるぐる回ってから入るわ~!(笑) 
ステッカーを貼ってオシャレにして、“こんなふうに乗ってるよ”って、みんなにシェアするのも、終活をやっている私の役目かな。

ニッコリー
ニッコリー

こちらも楽しかったです。おしゃべりしながら一緒に歩いてみて、小さなモビリティが生活を変えてくれるのかもってワクワクしてきました。楽しむってことが大事ですよね。いくつになっても、やりたいことをあきらめずにいたいですね。

トヨタ C+walk SSafety support

505,000円(消費税非課税)

●アクセルレバーを押すと進み、離せば止まるシンプル操作
●最高速度は1~6㎞/hで設定可能
●坂道を下る時やカーブでは自動的に減速
●障害物を検知すると約2㎞/hまで自動的に減速
●坂道10度、段差50ミリに対応
●バッテリーを取り外して家で簡単充電
●介護保険適用レンタルの利用が可能
●立ち乗りタイプC+walk Tもあります。
●試乗は販売店へお問い合わせください。体験会も開催しています。

公式WEBサイト https://toyota.jp/cwalks/


お話をうかがったのは、

山田 雅司さん

トヨタ自動車株式会社
商用CASE企画開発部 
電動化企画開発室

濱崎 守さん

トヨタ自動車株式会社
CV Company
CV統括部 第2事業推進室 小型モビリティ事業グループ

難波 弘美さん

トヨタ自動車株式会社
国内事業部 部用品事業室 PMV・安全普及グループ

最後に、ケアネーネ編集部から一言~!

若いうちからアクティブカーを乗りこなせ!

今回、最期まで自分らしく自由に生きるための
希望の光がみえた、アクティブカー!

私は、足腰が弱ってきて歩行が困難になってきても、
ケアラーに気遣いせず、どこにでも好きに行ける自由を持っていたい。

だったら、元気なうちからアクティブカーを乗りこなそう。

新しいものにも、興味・好奇心を持って
暮らしを豊かにしていく、そんな生き方が
いつまでも若々しく生きる秘訣かもしれない。

これからの時代は、老人がロボットの足で颯爽と歩く時代だって来るかもしれない。

さぁ、シニア予備軍は、アクティブカーで自由に街を駆け巡ろう!

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