「健康で長生きしたい」「自分らしく人生を歩みたい」 そのためのヒントを本からもらってみませんか。 なかには人生の大きな転機となる出会いがあるかも。 このコーナーでは、ケアネーネ編集部が気になっている本をご紹介。 読んだあと、あなたが歩む道の先を少しでも明るく照らせるといいなと思いながら丁寧に選びます。

著者:王谷晶
平凡社
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《本を紹介する人》ケアネーネ編集部「おはぎ」

人生の目標は、ピンピンコロリ。
健康で長生きするために本気でダイエットをはじめたover50。
小さいことを気にするわりに、嫌なことは一晩寝たら忘れるタイプ。
大好きな推しの活躍を原動力に、今日も老いに立ち向かう!
「思ってた40歳と、なんか違う」と感じている人へ。自分を許してあげたくなるエッセイ
不惑どころか理想と現実のギャップに悩むアラフォー
私も40歳を迎えたとき、思った。
「え、40歳ってもっと大人なんじゃないの?」と。
落ち着きがあって、貯金や投資もきちんとしていて、健康のためにジム通いして、週末は趣味を楽しんで。
「ごめん、今ちょっと仕事が立て込んでて」なんて言いながらも、実は余裕のある暮らしをしている。
そんな大人な40歳像を、20代の頃のわたしはイメージしていた。
でも、現実はというと、
メイクを落とさずソファで寝落ち。冷蔵庫にはしなびた野菜たち。
健康診断の結果にモヤモヤしながらも、深夜のポテチはやめられない。
「今日はちゃんと生きててえらい」と自分を甘やかす一方で、「でもこれって40歳の振る舞い?」と、もうひとりの自分が責めてくる。
そんなわたしに刺さりまくったのが、この本だった。
著者は、世界的に権威あるミステリー文学賞「ダガー賞」を日本人で初めて受賞した、いま注目の作家・王谷晶さん。
40歳という節目を迎えたご本人が、“大人の壁”にぶつかりながら綴った笑いと戸惑いのエッセイ集である。
「40歳なのに」からはじまる、共感の嵐
タイトル通り、テーマはズバリ“大人になりきれない40歳”。
自虐的ともいえる数々のダメっぷりエピソードに「わかるわかるー!」の連続なのだ。
税金や保険がわからず、確定申告は「とりあえず提出して怒られたら直す」。
ゲームのやり過ぎや漫画の一気読みで寝不足。
通販で無駄遣いをし、貯金ができない。などなど。
わかる。ほんと、わかりすぎて笑うしかない。
なかでもツボだったのは、食生活管理アプリ「あすけん」との格闘。
そんなに暴食していないつもりなのに、午後3時にはその日の摂取カロリーをオーバーしてしまう王谷さん。
「わかる!もう今日は白湯しか飲めんのかい!って荒ぶりますよね」
アプリ内のキャラクターである管理栄養士の顔色を伺いながら、食欲と格闘する日々。
「うんうん。このキャラクターのアドバイス、正論すぎてイラッとしますよね」
わたしのリアルとシンクロしすぎて、思わず声に出してつっこんでたわ。
わたせせいぞう『ハートカクテル』、デュラン・デュラン、ビヨンセ、インターネット黎明期の空気感など、40代にとって懐かしいカルチャーや時代の流行も随所に散りばめられている。
「大人ってなに?」と自問するすべての人へ
ただの“あるある”で終わらないのが、この本の魅力だ。
「大人のルールって誰が決めたの?」という問いは鋭く心を突く。
周囲から「もういい歳なんだから」と言われるたび、無意識に“理想の大人像”に近づこうとしてきたけれど、そもそもそれは、自分が本当に望んだ姿だったのだろうか。
「大人になる」ことにどこか苦手意識を持っていた私も、読みながら気づいた。
大人はもっとラフでいい。
ちゃんとできなくても、迷っていても、それでも大人を名乗っていいのだ、と。
この世界には“自分の常識”だけで生きてる大人も山ほどいる。
そういう人にわざわざ認めてもらわなくてもいいよね。
王谷さんの文章には、繊細さとユーモアが同居している。自虐的に語りつつも、その奥には強さと誠実さがにじむ。
『40歳だけど大人になりたい』は、笑って、うなずいて、ときどき胸に刺さり、それでも最終的には「まあ、なんとかなるか」と背中を押してくれる。 そんな一冊である。
目次
はじめに
1章 どうやって年をとればいいんだろう
エブリデイ惑いまくり/老いと大人/趣味と大人/運動と大人/食と大人/お酒と大人
2章 変わりたいと思っちゃいるけど
仕事と大人/休暇と大人/格好と大人/住まいと大人/お金と大人/フィクションと大人/おもしろと大人
3章 ひとりで生きる、誰かと生きる?
インターネットと大人/人付き合いと大人/協調性と大人/恋バナと大人/家事と大人/リレーションシップと大人/子供と大人
4章 そして人生はつづく
後悔と大人/怒りと大人/病と大人/終活と大人 親編/終活と大人 自分編
おわりに
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