「健康で長生きしたい」「自分らしく人生を歩みたい」 そのためのヒントを本からもらってみませんか。 なかには人生の大きな転機となる出会いがあるかも。 このコーナーでは、ケアネーネ編集部が気になっている本をご紹介。 読んだあと、あなたが歩む道の先を少しでも明るく照らせるといいなと思いながら丁寧に選びます。

著者:信友 直子
文藝春秋
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《本を紹介する人》ケアネーネ編集部「おはぎ」

人生の目標は、ピンピンコロリ。
健康で長生きするために本気でダイエットをはじめたover50。
小さいことを気にするわりに、嫌なことは一晩寝たら忘れるタイプ。
大好きな推しの活躍を原動力に、今日も老いに立ち向かう!
「老い」を明るく照らす言葉たちが、
「人生100年時代」を生き抜くヒントに。
夫婦の愛情を記録し続けた映像作家が綴る、介護のその先の物語。
著者は、ドキュメンタリー映画監督の信友直子さん。
認知症になってもユーモアを失わなかった母・文子さんと、献身的に妻を介護する父・良則さんとの日々を描いた映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』は、全国で異例のロングヒットを記録。
その後、文子さんとのお別れを描いた続編『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』も制作され、多くの共感と感動を呼んだ。
その家族の愛情物語のその後を、エッセイというかたちで綴ったのが本書である。
『あの世でも仲良う暮らそうや』
どこかユーモラスで、肩の力が抜けるようなタイトルには、104歳を迎えた父・良則さんの明るくおおらかな人柄が色濃くにじんでいる。
呉弁で語られる“父の言葉”に心がほどける珠玉のエッセイ。
現在104歳になる良則さんは、広島・呉でひとり暮らしを続けている。
著者は東京と呉を行き来しながら、父の暮らしぶりを見守り、その日常と呉弁まじりの味わい深い言葉たちを丁寧に記録してきた。
この本には、その“珠玉の言葉”がぎゅっと詰まっている。
といっても、人生訓のような堅苦しさは一切ない。
呉弁丸出しでつぶやく良則さんの言葉が、じんわり心に染みてくるのだ。
構成は三章仕立て。
第1章は、認知症の妻とともに過ごした良則さんの「ふたり暮らしの言葉」。
第2章は、妻に先立たれたあとも前向きに生きる良則さんの「ひとり暮らしの言葉」。
第3章では、良則さんを応援する“人生の先輩たち”が登場し、まるで人生のリレーのように、あたたかい言葉を届けてくれる。
著者自身が撮影した良則さんの写真も大きな魅力のひとつだ。
「日本最高齢のアイドルフォトブックを作るぞ」という意気込みで厳選された秘蔵ショットが、多数収録されている。愛くるしい笑顔や、ちゃぶ台の上に広がる日常の風景など、どの写真にも、明るく穏やかな時間と家族への深い愛情が満ちている。
老いを前向きに生きる父が教えてくれる、人生100年時代のヒント。
この本のすごさは、「老い」をネガティブに描かないところだ。
できないことが増えても、人は誰かを想い、感謝し、笑って生きていける。
そして100歳を超えてなお「いまがいちばん幸せかもしれん」と言える日々があることを、良則さんはその姿で教えてくれる。
私も本書を読んでとても勇気づけられた。
「人って、こんなふうに素敵に年を重ねられるんだ」
家族を見送ったあとも、自分の人生をしっかりと歩んでいる良則さんの姿に、静かな勇気をもらった気がした。
今はまだ介護や老後をリアルに感じていない人にも、この本はきっと何かを残してくれる。
「人生100年時代」なんて言われて久しいけれど、じゃあその100年をどう生きるのか。
そのヒントは、豪華な誰かの成功談ではなく、ひとりの老父が日々つぶやく、ささやかで味わい深い呉弁の中にあるのかもしれない。
『あの世でも仲良う暮らそうや』。
この言葉に込められたやさしさと覚悟を、私もいつか、誰かに伝えられたらいいなと思う。
目次
はじめに
第1章 ふたり暮らしの言葉
1「これからはわしがおっ母に恩返しする番じゃ」
2「誰でもなる病気じゃけん、恥ずかしいことはないわい」
3「これからはわしが掃除当番になるわい」
4「わしが代わりに覚えとってやる」
5「今朝は早う起きた。えらい!」
6「感謝して暮らせ!」
7「わしだけ楽をするわけにはいかん」
8「おっ母を、あのまま家におらしてやりたかった」
9「おっ母には最後まで希望を持たしてやろう」
10「あの世でも仲良う暮らそうや」
信友良則&直子 父娘対談「98歳で始めたわしの筋トレは今も続いとる」
第2章 ひとり暮らしの言葉
1「これはお母さんのおかげなんよ」
2「みんなにかわいがってもらえるような年寄りになる」
3「年寄りの社会参加は、社会に甘えることじゃの」
4「腹が減るほどさえんことはない」
5「やりたいことをやりんさい。それが何より幸せなこと」
6「苦労せずにもろうた知識は、すぐ忘れてしまう」
7「今できよることはやり続ける、これが健康の秘訣じゃ」
8「なるようになる、思うて安気に暮らすことじゃ」
第3章 哲代さんにもらった言葉──信友良則&石井哲代 同級生対談
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